長野出張を兼ねて、以前設計させて頂いたTYMに伺ってきました。
ヘアサロン+住宅のこの建築は、都市計画によって将来大幅に拡大される全面道路や激変する周囲の状況をかんがみて、それらに耐えうる建築を目指したものです。
またヘアサロンとしての顧客層を絞ったブランディングを果たす一方で、住宅としての充足度をいかに果たすかが計画のポイントになりました。
一年半前に完成したこの物件は、店舗・住宅ともに、使い手の手により非常にうまくまとめられていたのに関心させられました。
店舗 (HAIR SALON KASBAH )は、機能を重視しながらコンパクト且つ合理的に物が配置され、非常にまとまった空間。
物の配置バランスも非常にうまい。
住宅の方は、男性一人で暮らしているとは思えないくらいに、細かい所に手入れが行き届いており、真っ白い壁がほぼ建設当時のまま存在しておりました。
植栽・家具等も大きさ・配置共に非常に良く考えられている。
建築は、私たち設計者が作り上げるものではなく、使い手が最終的には仕上げるものだと思います。
使い手が、フィニッシュを行い、その行為は実は永遠に続く。
つまり常に自分たち専用にバージョンアップ・手入れをしていくといったような継続性のあるもの。
おそらくTYMのお施主さんは、忙しい私生活の中でも、各フェーズで悩み・苦労を楽しんで生活しているのだと思います。
もはや私たち設計者の色ではなく、使い手の哲学や人間性がにじみ出た、使い手の色になっているのです。
色々勉強させられる訪問となりました。