7月に着工以来3ヶ月。
いよいよ施主検査。
今回は企業の保養所改修であったが、圧倒的なコンセプトを見つけ出し突き進むのではなく、どのように解くかしばらく迷いながらも、素直で誠実に応えていくと、緩やかに確信していくこととなった。
つまり大きく、斬新な変化ではなく、残せる所は残し、使い手の気持ちが少しだけ「イイネ」って上がるような応え方に徹することとしている。
元々山荘らしい既存の建物を、「らしさ」を残しつつ、所々に「心遣い」を感じるような優しさを施している。
くつろぐスペースでは毛長カーペットで迎え、ダイニングでは皆が顔を合わせて食事ができるダイニングテーブル。
客室では、旅の大きなバックを容易に収納でき、導線のストレスを感じさせない。
また、各アメニティが準備され、各室違った良質のベッドリネンで一日の疲れをほぐしてくれる。
てな感じで、切り口は無数にある中で、既存の中でできる事を一つ一つ丁寧に応えていく事としている。
建築は美術品ではない。
僕はいつも建築には哲学を感じるものであるべきだと思っている。
それは形体や要素が違っていても。
だから、美しさや、高価である事とは違ったところで、その人らしさみたいのがにじみ出なければいけなくて。
もちろんそれにはクライアントの理解があっての事で、それを達成できる事に感謝は忘れないようにしている。
そしてその先には必ず、クライアントの為であるという最終目標は忘れてはいけなくて。
僕はここに泊まりたい。
ということは、いい仕事ができたということである。
建築は、本当にタノシイ。
そんなチャンスを頂けるクライアントさんには心から感謝の気持ちでイッパイです。