本日、スチールのソファ・ダイニングテーブル・ローテーブルなどの製品検査に大阪まで行ってきました。
この手の家具は、「勘」というものが、大きく左右します。エンジニアの方々と「あーでもないこーでもない」と何度もやり取りを重ね、突き詰めていきます。構造家に、力学的なアドバイスを頂いたり。
しかし構造計算通りに考えるとフレームが大きくなったり、部材が増えたりするので、最終的には「勘」と「経験値」が最終判断となります。ある意味実験的かもしれませんが、僕はこういったプロセスを乗せる事こそオーダー家具なんだと思うんです。
ただ使いやすくとか機能性を求めることではなく、そこに人と人がぶつかった意思が乗っているかということが、重要なんだと思います。
僕の大好きな住宅で、広瀬鎌二さんが50年前に設計された上小沢邸というものがあります。
その家には、広瀬さんが設計されたソファ・テーブル・デスク・浴槽などのプロダクトがありますが、それらには全てに「思い」や「意思」「苦労」が感じられていて、良い朽ち方をしています。少し錆びていたり、すこしホコリが溜まっていたりするのですが、そこに長年生き延びてきた証を感じます。
そして、それと一緒に生活されている上小沢夫妻が何といっても素敵なんです。
最終的にいい仕上がりになって、愛される家具になるよう願っています。
製品検査の前に時間があったので、安藤さんの「住吉の長屋」を見てきました。
数ヶ月前だったか、ギャラ間でやっていた安藤展で住吉の内部空間が再現されていて、仮設ではあるものの体感できていたので、頭の中で良くシュミレーションできました。
30年たった今でも良いというか、個人的には、むしろ良さを増しているのではないのかなと。
人の手を感じるし、現場の風景がなんとなく想像できるヒューマンぽさの強い建築でした。