敷地は、長野市の駅前再開発地で、未計画の土地が並ぶ商業地。
前面道路は32m幅員が予定され、近い将来高層の建物群が立ち並ぶことが想定される。
ここに、店舗兼用住宅の計画。
施主との打ち合わせの中で、要望の中に「KASBAHのような」というワードがあった。
「KASBAH」とは、アルジェリアの城壁に囲まれた閉鎖的な建築世界遺産のことを示す。
計画としては、1階を駐車場、2階を店舗、3・4階を住居とし、4辺を城壁のような壁で覆い、今後変わりゆく周囲の変化から住居と仕事場を守ろうとしている。
外壁は、規格材をいくつかのモジュールでランダムに張り上げ、そこにできた隙間を開口部としている。
壁で囲われつつも、それぞれは十分なテラス外気空間があり、住空間と成立させている。
KASBAHを作り上げた当時の職人は、当時の素材を素直に使い、技術によって解決していったのだと思う。
この建物も、そんな現代の技術と素直な材料の使い方によって作られている。