計画地は、”Yamate Bluff”と呼ばれる横浜山手の石積み擁壁で作られた斜面地。
港町を見下ろし、遠くには富士山、隣にはイタリア山庭園を借景として望める。
施主の要望でもある「周囲の借景と視線の配慮」という相反する要望、そして周辺の良好な環境とどう向き合うか。
まず、視線の配慮を考慮し、壁で囲いながらもタテ・ヨコに大きな開口を開け、必要な採光と通風、眺望を得ている。
そして、周囲の良好な環境に馴染ませる目的で、古くからある山手のBluff Load(石積擁壁)の様子を建物の外壁に抽象的に表現する事を目的とし、一般的には嫌がられるコンクリート型枠からの灰汁を自然発生させ、赤・白・茶・黄とコンクリートに転写し、よりオーガニックな仕上げを施している。
一滴の自然な染め色は、長い年月を経てゆっくり変化を続け、周囲の景色と共に時を刻む。
建築によって環境を作るのではなく、既存の環境に寄り添う事を目指した建築である。