YMT _ "sabi"

敷地は、千葉県の九十九里海岸から9kmのところに位置し、塩害に侵された建物が並ぶ商店街の一角。
塩害を受けた周囲の状況から、それらに逆らわず「受け入れる」ことが、家族が継続的に家を守っていく自然な行為であると感じた。
素材の耐久性を検討する中で、面材だけでなく、二次部材の劣化等についても追求しながら、並行して施工性・費用など、現実性も同時に追求することとしている。
まず、塩害から守る為のコールテン鋼を規格サイズの2424mm x 910mm x 2.3mmを303mm幅に工場で裂き、軽量化することで重機を使わずに、職人が2人で手運びできることとし、間柱にコールテン鋼をビス留めできる下見張りとすることで、通常の大工仕事の延長としつつ、この納まりによってビスは風雨にさらされず、二次部材の保護ともなる。
平面計画では、南側に3階建の建物があったが、採光を安定的に獲得する為に、南側に寝室、北側にLDKを配置し、大きなコートヤードを介して採光を延長させることとした。
そのコートヤードには、2階床梁のレベルでターポリンシートが張られ、庇とテントの二つのレイヤーによって緩く覆われた中庭となり、外気を感じつつも、雨・陽射しから程良く家族が守られることとなる。
そこには、サーフボードや洗濯機・テーブルセットや植物など、中と外の物が混じりあった中間領域となり、家族は外部的な使い方・内部的な使い方を、その時々で使い分けるだろう。

スチールの高質な素材に少しの操作をすることで、「施工性」「見え方」の新たな提案になったのではないだろうか。
半永久的な外皮に包まれた空間が家族と共に継続していくを願っている。

  • Location
    千葉県 茂原市
  • Construction type
    新築
  • Architect
    no.555 _ 土田 拓也 岡野 牧子
  • Structural design
    frameworks _ 秋元 恵美
  • Construction
    有限会社 片岡建設 _ 片岡 弘之
  • Photographer
    鳥村鋼一写真事務所 _ 鳥村 鋼一
  • Computer graphics
    ELECTROGIC _ 塩田 久人
  • Sub title
    sabi