既設の幼稚園の附属棟としての遊戯棟・厨房棟及び連携として計画された小規模保育園。
教育現場に限らず、ニーズは10年も経てば変化が要求され、必要なものが変わっていく。
一つの敷地に、整然と増築を重ねる度に、ニーズも変われば、大きさも、デザインも変わる。
40年も経てば、バランスの取りきれない建物だらけ。
そこで、今後の予測しきれない変化に対し、建築物として誰しも直感的に感じる家型を基本形としてながらも、大きさ・高さ・屋根の角度を揃えず、かつ配置の角度も揃えないことによって、今後の不揃いの変化を吸収できるのではないかと考えた。
つまり、バラバラがバラバラを吸収する。という受け入れ方。
内部では、幼稚園とは違い保育園という性質上、セキュリティが重要視されるが、本園に存在する縁側を踏襲し、エントランス棟内部に配置している。
雨の日であっても園児は駆け回ることができ、そして朝の混雑時も余裕をもって受け入れることができるようになる。
また、渡り廊下も同じように設け、1歳児・2歳児共に、渡り廊下を介して、それぞれの教室に向かうこととなる。
既存の「縁側」「渡り廊下」といった当たり前、その当たり前は学園の顔であり、卒園生の思い出でもある。
この「当たり前」というアイデンティティを尊重し、新たな増築棟にもそれを継承する。
今後の学園のあらゆる変化にフレキシブルに対応し、ここでの「らしさ」を卒園生の心に残しながら、
地域に示すことができればと考えている。