計画地は、香川県の西側にあたる宇多津町。
狭い地域に寺社が点在し、四国八十八ヶ所霊場の一つにもなっている。
施主は5人家族で、夫は転勤が多く、子供3人も成長と共に「部屋」の必要性がどう変化していくか予測仕切れない。
一人、また一人、家を出て行くかもしれない状況化で、「部屋」を固定した空間のあり方ではなく、緩く仕切られた空間を「拡張・縮小・移動」が可能なグリッドで構成することが家族にとって必然的であると思えた。
つまり、今後の家族の変化を受け入れ、空間は細胞分裂をずっと繰り返し、常に家族に呼応した住宅になることを目的としている。
また、グリッドを構成する90×90の柱を合板でサンドした木造の門型フレームの連続は、夫婦が幼い頃に近所の寺社で遊んだ鳥居の空間を思わせる。
空間はフレキシブルに変化するが、鳥居のような構造となる門型フレームはそのままに、変わらぬ宇多津の旧市街のあり方と類似するようである。