写真家の家。
裏山には、大木が茂り、施主は小さな頃からそこで遊んでいた。
まだ幼い子供達も、今後、その裏山で遊び、泥だらけの靴で家に帰るだろう。
そんな家族の伸びやかな生活にストレスを与えず、「そのままの家族」で暮らせるように、家の奥まで土足で行ける土間空間を大きく確保している。
また、施主は仕事・趣味と所有物が多く、納戸を設けたとしても、今後も物が増えることが想定できる。
特定できないものに空間を省くのではなく、家中に棚板を設け、必要になった時にそれらを追加するような作りとすることで、今後の変化に素直に適応させられ、家中が収納であるようなフレキシブルな計画案となっている。
2階の寝室スペースには、建築モジュールのままで作られたケージのような動く収納があり、それらを移動することによって、間取りを変えられ、生活の変化・家族の変化に適応させられる。
裏山まで自分達の住処と捉えると建物は寝床と考えられるかもしれない。
建物内部に土間、その一皮内側にはケージのような空間、外部にも内部にも椅子一つあればそこが居場所になる。
同じ空間であってもカメラのレンズを変えると光景が変わるように、住宅という空間設定を裏山まで広げ、生活の範囲をフレキシブルに変えられれば、家族にとってのより快適な暮らしが見つかるかもしれない。