東京都内中心部の住宅街に取り残された車を3台縦に並べる程度の細く長い敷地。ここに、6部屋の共同住宅を計画。
奥行きがなく、各階共に横への動線が取れない為、縦同線(階段)を2つ設けることで、横動線を最初限に抑えている。
クライアントは4部屋を求めていたが、各部屋が細く長い空間となりすぎメリットが得られなかった為に、あえて小さく6部屋に分節し、それを補填するように1階に共同で利用できるシェアリビングとシェアキッチンを設けることで、生活の幅を広げる提案としている。
また、共有広場では、キッチンで作ったお弁当の販売やマルシェなど、住人だけでなく周辺の方々とのコミュニティの場ともなっている。階段室や共有広場の壁が斜めに空間を切っているのは、道路に対して広がりを持たせ、狭小でありながらも、周辺への閉鎖感を緩和させる効果に期待するとともに、居室にも奥行感や広がりを感じさせる効果ともなっている。
長年、駐車場としても十分な利用をされていなかった土地に、人の生活が生まれ、そしてささやかではあるが周辺の人々とつながりを持つスペースを持たせることで、東京の過密化によって取り残された土地の一つの答えになるのではないかと期待している。