栃木県宇都宮市内の築40年弱のリノベーション。
周囲は水田に囲まれ、その中にぽつんと宅地がある。
水田は春に水が張られ、夏には蒼く靡く稲、秋を迎えると黄金に輝く稲穂となり、そして冬には短く刈り込まれ土壌が顔を出す。
こんなにも四季を分かりやすく感じれる環境は、日本人としての体内の時間軸を常に整えてくれるようにさえ思える。
その水田を縫うように「あぜ道」が存在し、農家の作業通路だけに留まらず、周辺の住人が小径のように利用している。
お互いの常識の範囲で、皆が当たり前のように利用する様子は、どこか心の体温が一度上がるような温かさを感じる。
建物は昔に作られた一間モジュールのいわゆる一般的な構造であるが、外部のあぜ道(Polku)のように規則性があるようでルーズな通路を内部で横断させ、既存の構造を感じさせない自由な空間としている。
まだ小さいお子さんが、いつか外のあぜ道を走り回る日が来る。
私はその光景が楽しみで仕方ない。
そんな自由が家の中にもある。
そして、あぜ道を利用する周辺の方々との温かい関係がオマージュのように、建物の中にトレースされた住宅となっている。