神奈川県茅ヶ崎市のヘアサロン。
木造新築2階建てテナントのリノベーション。
すぐ使用できる状態に作り込まれた新しい空間。
未使用のものを解体するというのは、気が引けるものである一方で、新たな空気感と統一感の維持を目指す。
相反する「想い」と「状況」の中、解体の線引きをどこまでにとどめ、そして既存の有効利用を行った上で、新たな空間構築を目指すこととしている。
それは、とても繊細で地味な作業であるが、施主と細かい話を積み上げながら、一つ一つ解決・決定していく。
1階では、既存の床組を切り落とし、板の間と土間といった2つの違った空間としているが、土間によって床が落ちて生まれる高天井は、小さな空間には効果的に働く。
2つの床の違いは、業務のゾーン分けにもなりつつ、土間から板の間に移るという行為は、日本人には潜在的に感じる一連の動線パターンである故に、人は心地よさを感じるとも言える。
2階では、高圧木毛セメント板を床材に使用することで新たな抽象的な土間空間となり、1階・2階共に土間という共通項によって、空間全体が統一感を持ってつながっている。
またカットスペースに準備した一枚一枚が違った形でルーズに切り落とされた不整形なミラーは、クリエイティブなヘアスタイリストの想像力を表現している。
見ているだけで楽しさを感じる。
ヘアスタイリストの職業とは、その瞬間に顧客自身に変化を与え、ワクワクを生み出すことができる素晴らしい職業である。
空間が、そんなワクワクの手助けになれば幸いである。